長編小説「昭和」 その128
前書き
今までのあらすじ
その1からその118まで まとめたもの
千代とけいは
また汽車に乗って
帰って行きました。
武蔵が かごの鳥になっている時
一方勇治は
やくざの道に進んでいたのです。
ホンマもんの
やくざを
めざしたのです。
勇治が
親分と考えていたのは
けいには後でわかるのですが
園田に住んでいた
「よねいち」(漢字でどのように書くかわかりません)
と呼ばれるやくざです。
その
「よねいち」の
収入源は
今で考えると
少し替わっていますが
この手の商売は
こんなものかもしれません。
よねいちは
藻川の堤防の岸に
一家を構えています。
二階建てで
藻川が一望できます。
だからといって
そこで魚を獲っているというわけではありません。
じっと藻川の砂を見ているのです。
当時は前にも言いましたが
車というものが
発達していなかったので
砂を買うのは大変でした。
それで川の砂を
使うのです。
でも今も昔も同じように
川の砂を無許可で
盗ることは
禁止されています。
誰かが藻川の砂を取りに来ると
警察に通報するのです。
それで
砂を取りに行くときには
よねいちに
お金を持っていかなくてはならないのです。
お金を持っていくと
警察に通報されないのです。
言うなれば
他人のものを
売ってお金を儲けているような
商売です。